お肉は牛や豚といった種類や、その品種、部位などたくさんの種類があります。
脂肪と赤みの違いなど味もそれぞれ特徴が違います。同じ牛肉だけでも、ロースや牛タン、ハラミにザブトンなど、それぞれ歯ざわりだけでも色々楽しめるのが良い例です。
今回はこのようなお肉の差がなぜ生まれるのか。かたいお肉と柔らかいお肉の組織を見たときの違いについて解説します。
お肉の柔らかさはたんぱく質の種類で決まる
牛肉にせよ、鶏肉にせよ、お肉の成分は動物の筋肉。そして筋肉はたんぱく質という組織でできています。
かたいお肉は筋繊維や結合組織と呼ばれる組織が多く、やわらかいお肉は筋形質たんぱく質が多く含まれています。
ちょっと詳しいお肉のたんぱく質の話
お肉の主成分たんぱく質は、筋肉全体の約20%となります。
筋繊維は、筋原繊維たんぱく質とも呼ばれ、繊維状で水に溶けにくいという性質があります。また、筋形質たんぱく質は球状で水に溶けやすいです。
水に溶けやすく、組織が絡み合っていないので歯切れ良くやわらかな肉質になるんですね。
さらに筋肉と骨や内臓などとをつなぐ結合組織というのがありますが、これがあるとお肉がかたくなります。
お肉を加熱するとかたくなる
お肉を加熱調理すると、筋原繊維が熱によるたんぱく質変性が起こって、収縮・凝固していきます。
また、結合組織のたんぱく質も収縮するために、筋原繊維同様にかたさが増えていきます。
ただ、この結合組織は、かたくなるだけではないというのがポイント。結合組織はコラーゲンが繊維状に並んだ組織。コラーゲンは水と一緒に加熱されることで、お水に溶け出すのです。
結合組織が多くて、ただ焼いただけではかたいお肉は、煮込み料理にするとほろほろと崩れるような柔らかさになって美味しいのです。
硬いけど煮込むと柔らかいお肉の部位
結合組織があるために、かたさを感じるものの、弱火で煮込むと美味しいお肉は以下となります。
- 肩肉
- ばら肉
- すね肉
これらのお肉は、すじや結合組織のコラーゲンが多く、煮込むことでゼラチンに変化します。お湯に溶け出すことで、支えている筋繊維もほぐれていきます。間にある肉汁もスープに溶け出すようになるため、シチューや煮込み料理にぴったりなのです。
焼いて柔らかいお肉は煮込むと硬くなる
ステーキや焼肉などでやわらかいヒレ肉やロースなどのお肉は、長時間煮込むような食べ方はNGです。
これらは筋や結合組織が少ないのが特徴なので、加熱が続くほどに硬くなってしまうのです。
焼くだけで美味しいお肉は、肉がぱさつきかないように調理してあげましょう。