米沢牛(よねざわぎゅう)は、山形県の置賜(おきたま)と呼ばれる地方で肥育されている牛です。国産和牛のなかでも、サシの入り具合が非常にいいことから人気が高く、神戸牛・松阪牛とともに、三大和牛のひとつに数えられることもあります。たっぷりとサシ(脂肪)が入っているので、口に入れるととろけるような味わい。
ステーキよりも、しゃぶしゃぶやすき焼きによく使われます。
この見事なサシの入り具合は、米沢牛の肥育農家がとりわけ飼料にこだわっているからだといわれます。飼料には稲わらなどと麦、ふすま、大豆粕、トウモロコシ、米ぬかなどの濃厚飼料を独自に配合して食べさせています。牛に与える飼料の割合と量をしっかり管理し、肥育農家の長年の経験を生かして最高級の牛を育てています。
米沢牛としての定義
米沢牛としての定義は、
1. 飼育者は、置賜三市五町に居住して、「米沢牛銘柄推進協議会」が認定したひとであること。また、飼育者の牛舎において18ヶ月以上飼育された牛
2. 種類は、黒毛和種の「未経産雌牛」
3. 米沢牛枝肉市場もしくは、【東京食肉中央卸売市場】に上場されたもの、または米沢市食肉センターで、と畜され、日本食肉格付協会の格付けを受けた枝肉
4. 生後の月齢が32ヶ月以上のもので公益社団法人日本食肉格付協会が、さだめている3等級以上の外観、並びに肉質、及び脂質、が優れている枝肉
5. 山形県の放射性物質全頭検査において放射性物質が「不検出」である
など厳しく決められています。これだけの条件をクリアすると、米沢牛としての証明印が枝肉に押されて、高値で出荷されていきます。
米沢牛の特徴
米沢牛の特徴は、甘みのある脂です。食べたときに脂の甘味が広がり、しっかりした風味が感じられます。
また肉の香りが強いのも特徴で、和牛らしいまろやかさが楽しめるのもうれしいところ。こういった米沢牛の肉質は、肥育される米沢盆地の気候が大きく関係しています。
米沢盆地は1日の寒暖差・夏と冬の寒暖差が大きいため、細かいサシが入りやすく、冬季にはマイナス17度にもなる寒さが肉の脂を一層甘くすると言われます。
さらに米沢牛出荷組合に所属する肥育農家では、濃厚飼料に非遺伝子組換え(NON-GM)でポストハーベストフリーのものをたくさん与えるようにしています。これもまた、高品質でうまみの強い牛肉が生まれる理由のひとつです。
米沢牛は明治時代から有名な肉
米沢牛は歴史の古い肉牛です。山形県南部にある置賜地方では、江戸時代の天和元年から農耕・運搬目的で牛の飼育を始めていました。明治になって、米沢県学校に来ていたイギリス人教師ダラス氏が横浜に米沢牛を持ち込み、そのおいしさが知れ渡ったといいます。明治の半ば頃には横浜の問屋へ米沢牛が送られていたという資料が残っています。おいしい牛肉には長い歴史があるんですね。