神戸牛(こうべぎゅう)は、兵庫県で肥育されている牛です。和牛の中でも、三重県産の松阪肉とともにトップクラスの知名度で、和牛の最高峰とも呼ばれるハイクオリティな牛肉です。
神戸牛の歴史は日本の開国の歴史でもあり、幕末の1868年に神戸港が開港されて以来、日本にやってくる外国人が神戸牛のあまりのおいしさに「KOBE BEEF(こーベ びーふ)」と呼んだことに由来します。それ以来、赤身と脂身のバランスのいい神戸牛は世界中のセレブが愛する逸品。日本が誇る高級牛肉です。
神戸牛の定義
和牛の逸品、神戸牛として認められるには、さまざまな条件をクリアせねばなりません。神戸肉流通推進協議会によれば
1. 先祖代々が兵庫県生まれ、兵庫県育ちという純血を保たれた但馬牛の未経産雌牛、または去勢牛であること
2. 県内の指定農家で肥育し、県内の指定食肉センターに出荷されたもの
3. 牛肉になった状態で、霜降り度合い・肉質等級・重量制限などが推進協議会の設定した基準を超えているもの
です。とくに目を引くのが「先祖代々が兵庫県生まれ、兵庫県育ちという純血を保たれた但馬牛」の血統であることを明記している点です。なぜなら神戸牛では血統が非常に重要視されるからで、神戸牛の肥育農家では、肥育環境や品質管理と同じくらいに遺伝的要素を大事にしているのです。
神戸牛の特徴
神戸牛の特徴は、柔らかい肉質です。もともと肉質が細く柔らかいため、肥育しているうちに脂肪が筋肉に細かく入り込んでいきます。これを霜降り肉、サシが入った肉などと呼びますが、神戸牛の場合は鮮やかな赤身のなかに脂肪分の細かいサシが交雑するのが一目でわかります。
神戸牛の細かいサシは加熱されるとあっという間に溶けて、サシ周辺の筋肉も柔らかくなります。そのため、口に入れた瞬間に肉がとけてしまったように感じるほどになるのです。昔から神戸牛では「霜降りは血統で決まり、肉味は脂で決まる」と言われ、サシの入り具合、脂の甘味が神戸牛の味を決める重要なポイントです。
神戸牛は、うまみと香りの成分が多い牛
高品質な和牛肉は、うまみと香りが強いと言われます。なかでも神戸牛は風味が抜群という評判。
実は兵庫県産の牛と中国地方の4県の牛を比較した検査をしたことがあり、ロース肉の脂肪酸組成分析で、神戸牛には特に肉の風味の決め手となるオレイン酸などのモノ不飽和脂肪酸の割合が多いことがわかっています。また他県の牛よりも、うまみを決めるイノシン酸含有量も多く含有されており、神戸牛は、肉の風味・うまみとも優秀なお肉だという証明にもなりました。