牛肉をはじめとするお肉は食べるだけで幸せになれますよね。日本人にとって当たり前のように食べられる存在になりましたが、実はお肉を食べるようになったのは明治時代になってからだそうです。今の時代に生まれてよかったですよね。
さて今回は私たちに幸せを与えてくれるお肉のおいしさって何から生まれるものなのかについて掘り下げていきたいと思います。
お肉の美味しさを決める要因
お肉の美味しさは、香りや味など食べるときに感じる味覚的・嗅覚的なものと、照りや形などの見た目から感じられる視覚的な要因に分かれます。霜降りの細かい美しい黒毛和牛は、すでに経験のある方は脳に美味しいものとインプットされるためそれ以降は見た目だけでもおなかが空いてくるようになったりします。(お肉好きの末期症状ですね)
今回は主に味覚のお話をしていきますと、お肉の味は一般的な味覚とされる甘み、酸味、苦味、塩味、うまみを基本として、さらにお肉特有のものとしてコクがありますね。コクって何かというと、味がないので非常にわかりにくいのですが、うまみや甘みと合わさることでより味に奥行きが出るものと考えておきましょう。
コクがお肉が美味しい秘密なんです。
今回はお肉の美味しさとコクについて学んでいきましょう。
お肉のコクについて
お肉のコクは実は脂肪によってもたらされるものです。特に口に入ったときに体温で融けやすいものは口の中に脂肪の膜を広げてくれるので香りやうまみ成分を広げやすくする効果があるのです。この広がるような感覚をコクと呼んでいます。
栄養状態の良い育てられ方をしたお肉は皮下や内臓、また筋肉の間に脂肪を蓄積するんです。筋肉の中に入っていく細かい脂肪のことを一般に「サシ」と呼び、このサシがお肉に均一に入っているものを「霜降り」と呼ばれます。
冬になると土に霜柱が出るのを日本に住んでいれば見たことがあると思いますが、ちょうど霜柱が土の空気の部分に水を集めて成長する様子が筋肉に脂肪が入る様子に似ているのでこのように例えられています。
霜降りが美しいものは、お肉の柔らかさと滑らかさをプラスしてくれ、さらに脂肪分によってコクを感じさせてくれるようになるため、美味しいのです。
黒毛和牛のコクについて
人気の高い松阪牛や米沢牛がなぜそんなにも美味しいといわれるかというと、うまみ自体も多いのですが上質な環境で育てられているためにお肉と脂肪の一体感、そしてそれによる柔らかさと優しいコクによるところが大きいです。
他の黒毛和牛とはやはり一味違うのは、そもそも血統がいいこともありますが飼育方法も大きな要因が存在するんですね。
ブランド牛は黒毛和牛の中でも特に「霜降り」になりやすいようになっている血統を使っており、最高級の霜降りとなると赤身の中に50%程の脂肪が入っているんです。
脂というと胃にもたれると言う方もいますが、それはおそらく本当に美味しい牛肉を食べていないためもある意見でしょう。
最高級のお肉の脂肪は融点が低いので室温でも融けサラッとしています。融点の低い脂肪はしつこさがあまりないのです。
お肉のうまみについて
たんぱく質の構成成分であるアミノ酸とそれに関連する成分がうまみの元になります。具体的にはグルタミン酸とイノシン酸が有名。
これらは牛が生きていくうえで自然に代謝される成分ですが、上質なたんぱく質で、適正な加工がなされているものはより旨みを感じやすいでしょう。近年流行した熟成肉はこの旨みを増やす温度や時間を発見したことによって、効率的に美味しいお肉に加工したお肉商品をいいます。
また味の酸味については、人間でも疲労を感じたときに分泌される筋肉中のグリコーゲンが分解されてできた乳酸によって感じられます。
お肉の香りについて
お肉の中でも特に牛肉に関して言えば和牛香と呼ばれる黒毛和牛に多く含まれる成分があるんです。これが高級牛肉ならではの甘いような香くてコクのある香りです。この香りが含まれている部分は脂肪と赤身の間の部分に入っていることがわかっています。
霜降りのお肉ほど美味しいのは、脂肪と赤身の接触する面積が広く、和牛香が多くそして均一に入っているためだったんです。
和牛香を最も感じやすい調理
和牛香は香りの成分ですので、過剰に加熱すると揮発してしまったり分解してしまいます。一方で脂肪に溶け込んでいるために低すぎると脂肪に埋もれて香りを感じにくいのも事実。最もよい温度条件は、実はわかっています。
和牛香が最も感じられる温度は80℃、加熱時間は2分間が最も香りを楽しめるようです。
さらに香りを強く味わいたいのであれば薄切りのお肉で香りを広げるように調理するのが良いです。
最も香りが楽しめる調理方法はしゃぶしゃぶです。
比較的低温で焼くことがないため香り成分そのものを味わうことが可能です。
香りだけでなく、焼き目をつけることによるメイラード反応などうまみ成分も増やすのであればすき焼き。いずれにしても日本特有の牛肉の食べ方は和牛の香りを生かすことができる優秀な調理方法なんですね。
最も香りの良いお肉は松阪牛
松阪牛は非常に香りが良いことで有名です。
これは全国各地より優秀なメスの仔牛を買い付けてきて、松阪の指定エリアで非常に研究された飼料を与えられて育っていることによります。
空気や水の環境など全て整うからこそ、日本の黒毛和牛の中でも特に甘くて上品な香りがでるんですね。また、松阪牛個体識別管理システムが使われており、全国的にも指折りの厳しい生産と流通管理がされていることが特徴です。