ステーキでも焼肉でも、そして鍋物と思われる牛すき焼きでも必ずお肉はただ加熱すれば良いというわけではなく、表面にこんがりと焼き目をつけるでしょう。
これは、見た目が良くなるというだけのものではないんです。火が通れば全部同じ味と思ったら大間違い。焼き目部分にこそ旨みが集まっているんです。
その秘密、科学的に説明していきましょう。
たんぱく質自体に味はない
筋トレをしている方やジム通いをしている方はご存知だと思いますが、プロテイン(たんぱく質)にはそれ自体味がありません。そのためプロテインドリンクにはチョコ味とかフルーツ味などがつけられて、飲みやすくした商品がほとんどでしょう。
牛肉をはじめ、お肉の主な成分は「たんぱく質」。そう、プロテインと同じなんです。
それでも焼肉やステーキなどの牛肉料理は旨みが凝縮していて美味いですよね。これは、単にタレなどの味付けが美味しいというだけではなく、焼くことでお肉が変化するというのが主な理由なんです。
たんぱく質はある条件で加熱されると分解されます。たんぱく質は分解されるとアミノ酸になります。
たんぱく質を構成するアミノ酸の種類は20種類あります。また、アミノ酸が複数結合したものはペプチドと呼ばれ、アミノ酸とペプチドは味覚では旨みを感じさせる成分なんです。
煮込み料理や焼きによってたんぱく質は徐々に分解され旨みに変化していくんですね。
分解アミノ酸にさらなる化学反応を起こすのが調理法の焼き
たんぱく質がアミノ酸やペプチドに変化することがわかりましたが、ただ煮込むだけでも美味しいということになります。焼く理由には到達していません。
焼くことで更なる化学反応が起こるんです。
アミノ酸ともう一つ「糖」が加わり、加熱されることでうまみが一気に高まるんです。
例えると、カステラの茶色い部分、プリンのカラメル、五平餅の焼き味噌、もんじゃ焼きなどが同じ反応をしたものですが、いずれも茶色いのがわかりますでしょうか。
そう、この茶色化こそが、旨みアップの究極の調味料になるんです。
この反応はメイラード反応(別名:アミノカルボニル反応)といい、アミノ酸と糖が100℃以上で加熱されることで発生するものなんです。焼いたときの茶色には旨みがたっぷり集まっているんです。先ほどの煮込みではメイラード反応を起こすとき必要な、水を蒸発させるという条件が足りないため反応ができないんです。
すき焼きも砂糖入り、焼肉もつけタレは甘い
お気づきでしょう。美味しい牛肉料理には甘みが必要不可欠なんです。焼き目が重要なのが牛肉料理。是非意識して美味しいお肉を召し上がりください。