蒸し鶏やチャーシューのように、お肉をカットして提供される料理の時にお肉が不思議な色に光っていることがあります。
緑色に見えたり、ピンクに見えたり、まるで虹や貝殻のように様々な色に見えることもあります。
緑色に光って見えるときなどは、これはお肉が傷んでいるためではないかと心配になっている方もいるかもしれませんね。
ですが、安心してください。お肉の表面の色が虹のように光る現象は光の特性によるものなのです。
お肉が虹のように光るのは油の薄膜があるから
切ったお肉の表面が様々な色に見えるのには、いくつかの条件が必要となります。
- 薄く脂が膜のようになっている
- 表面が非常に平らである
- お肉自身に水分がしっかり残っている
少なくとも上の3つの条件を満たしている必要があります。
まず表面に均一に薄く膜となっている脂。これがなくては、色は発現しません。この薄膜によって光が当たると、その色の成分が分かれて虹のような色が出てくるのです。
次にカットされたお肉が、よく切れる包丁で平滑な表面を作られていることです。最後に大切なのが、お肉が脂のみではなくしっとりと水分を保った状態であるということ。蒸し鶏やチャーシューのように水分をお肉の中に閉じ込めるお料理でよく虹の色がみられるのはこのためなのです。
お肉の状態はばっちりということ
お肉がジューシーで薄く脂があるということは、
虹のような色が見えるお肉料理は調理が上手
と言うことがいえるのです。とても切れる刃物で舌触りが良くなるようにカットされている。もし、このようなお肉料理を見たら上手なシェフがお料理をしていると考えてよいです。
【補足】光の特性について
光は1色に見えたとしても、実は様々な色が混ざり合って出来ているのです。
プリズムの実験を行ったことがあればイメージしやすいのですが、太陽の光にプリズムを入れると出て来るときに色が虹と同じように7色の色に分かれています。
光が水や脂、ガラスといった透明なものに入ると、光が屈折してその光が本来持っていた色が並んて見えるようになるのです。
お肉の虹の色と類似する現象
今回の謎であった「お肉の虹の色」問題について、類似する現象を紹介しておきます。
シャボン玉
界面活性剤の入ったお水を薄い球状の膜を空気中に浮かせるシャボン玉。
膜の状態で色がカラフルになったり、パステルの色だったりします。これも数ミクロンの水の膜によってできる光の干渉の結果なのです。
貝がら
貝殻の内側もただ白いだけでなく、虹のように光っています。
貝がらの主成分は炭酸カルシウム ( CaCO3 ) という物質。貝の裏側に出る色は、光の波長の周期をもつ積み重なりの構造によってできるものなのです。
まとめ
今回は薄く切られたお肉のお料理で、表面がピンクや緑、あるいは虹のような色が出る理由について簡単に解説しました。
綺麗な色は光の干渉によるもの。これが見えるということは、調理の条件がとてもお肉にあっていておいしい可能性が高いということ。
もし、出会ったらじっくりと、お肉のうまみを感じてみてくださいね。