お肉が美味しくなる調理法があるって知ってる?
おいしいお肉を入手したら、いよいよ調理です。
お肉は柔らかくジューシーに仕上げたいものです。調味料や食材を利用してお肉が柔らかくなるという現象は、科学的にも50年以上前から研究されていることで知られます1)。
今回はお肉をおいしくするための食材や調味料についてお伝えします。また、実際にどうして美味しくなるかについても、簡単に解説していきます。
お肉を柔らかくできる調理方法
お肉を柔らかくする方法は、温度や加熱の仕方だけではありません。お肉はたんぱく質の繊維からできています。ここにうまく作用させて、たんぱく質を分解させたり、繊維を膨化させることができればお肉は化学的に柔らかくなるのです。
これらの多くは化学反応によるものです。
より効果を挙げるためには、しっかりと調味料や食材のエッセンスをお肉の内側に浸透させるようにすると良いでしょう。
例えば、切り込みを入れたり、フォークなどで穴を開けるなどがその方法のひとつ。角に行うと味が濃くなりすぎたり、加熱が均一になりすぎるなどのデメリットも出ます。バランスよく行ってください。
お酢を加えて加熱する
お酢を加えることで、お肉がジューシーに柔らかく仕上がります。これはお肉の中に元々入っているたんぱく質を分解する酵素が入っているのですが、この酵素は弱酸性で活性化するのです。
魚介類でもお酢(ビネガー)をつかってマリネにすることで、柔らかくなりますよね。お酢は酢酸という成分が入っているので、漬け汁を酸性にすることができます。
ただ、浸けておく時間が短いと逆に硬くなるので1時間程度は漬け込みましょう。
レモン汁
鶏肉のレモン煮など、レモンとお肉の相性は抜群です。
レモン汁もお肉を柔らかくする効果があります。これもお酢と同様にpHを低く、お肉が触れる環境を酸性にする効果です。
レモンの酸味はクエン酸という成分。
砂糖・ハチミツ
ハチミツやお砂糖に入ってる「糖」という成分によってお肉が柔らかく仕上がります。
糖はたんぱく質が熱によって固まるのを遅らせることができます。さらにお肉のたんぱく質成分のひとつであるコラーゲンと結びついてお肉のお水を逃げにくくすることができます。
すき焼きが美味しいのも、お肉を焼くときにお砂糖をたっぷり入れて焼くから。
さらにお肉の脂肪と砂糖は焼けることでうまみに変化されて美味しさが倍増します。
塩麹
塩麹は生きている調味料とも言われますが、実際にたんぱく質の分解を促進する成分が生きています。
この生きている成分とは「たんぱく質分解酵素」。たんぱく質を分解してお肉を柔らかく、そしてうまみ成分であるアミノ酸の量を増やすことができるのです。
しょうが
しょうがには、ショウガプロテアーゼというタンパク質分解酵素が含まれています。
塩麹同様にたんぱく質をアミノ酸に変化させる効果もあります。酵素は生きている必要があるので、しょうがは生のものを使用しましょう。
つけダレにすりおろして入れると均一に成分を広げることができるのでオススメ。
その他の食品・調味料
塩麹やしょうが以外にも、たくさんのタンパク質分解酵素を含む食品が存在します。有名なものを紹介します。
玉ねぎ、にんにく、マイタケ、大根、じゃがいも、セロリ、パセリ、ニンニク果物
パイナップル、イチジク、キウイ、パパイヤ、マンゴー、メロン
発酵食品
ヨーグルト、納豆、味噌
お肉をジューシーにする調理方法
お肉をみずみずしく、仕上げるための調味料を紹介します。
お塩
お肉に塩コショウを振るのは料理の基本ですよね。この中のお塩はお肉をジューシーに仕上げることに効果があるのです。
塩水をふるとお肉の表面にあるお肉細胞から水分が出てきます。浸透圧による現象で漬物と同じ原理です。
このような状態にして加熱することで、内側にある肉汁がコーティングされて逃げにくくなるのです。
このため、お塩を振るのは調理する直前がベスト。長くつけるとうまみは凝縮されますが、水分は少なくなります。
食用油
お肉を加熱する前に、コメ油、オリーブオイル、バターなどの油でコーティングする方にすると、水分の蒸発を抑制できます。
焼きあがった部分からはお水は出にくいのですが、鉄板に触れていない部分は水分が出て行きやすいのです。ここからの水分の蒸発を抑制することで、お肉はジューシーに仕上がるのです。
まとめ
今回は購入したお肉をよりやわらかく、よりジューシーに調理するための方法をお伝えしました。
同じお肉を使っても調理方法でお肉の味わいは大きく変化します。
うまみをアップさせる方法とジューシーに仕上げる方法を組み合わせて美味しい料理をつくってみましょう。
参考
1)大沢ら:調理科学, 7, 193(1974)